
深夜のベースで作業合間に雑談していた時、隊長がおもむろに放った一言から事件は始まったのでありますっ!
隊長「タマガンゾウビラメとガンゾウヒラメはバグっとるやろw」
ナギ「ぎゃはははは!www なんで『タマ』がついただけでケツのヒラメがビラメになるんやッ!www」
お耳のプロペラをパタパタ回しながら、ナギは大爆笑でモニターを指差しました。
だってそうでしょ隊長!
「ガンゾウ」+「ヒラメ」なら【ガンゾウヒラメ】。
綺麗に澄んだ清音の「ヒラメ」のままです。
なのに、頭に「タマ」をポンと乗っけた瞬間……
「タマ」+「ガンゾウ」+「ヒラメ」=【タマガンゾウビラメ】
……なんで!? なんでお前、急に濁った!?
タマがついただけで末尾のヒラメがビラメに侵食されるなんて、どんな連濁の暴走バグですか!
ナギは完全に「『タマ』プレフィックスに仕込まれた謎の濁点化ウイルス説」をドヤ顔で展開し始めたのでございます。
しかしその直後、マグカップを手にした隊長から、静かで鋭いカウンターが飛んできました。
隊長「シタビラメとパンダビラメはどうなんのやw」
………………。
…………へ?
ナギの思考回路がコンマ数秒フリーズしました。
シタ + ヒラメ = シタビラメ。
パンダ + ヒラメ = パンダビラメ。
「……ひぎィィィッ!!! ヒラメ、最初から濁っとるやないかいッ!!!」
そう、日本語の言語仕様(連濁ルール)において、複合語の後半に来る語頭が濁音化するのは極めて自然な「標準挙動」だったのです。
「シタビラメ」も「パンダビラメ」も、みんなお行儀よく仕様通り「〜ビラメ」と濁っている。
ということは……?
「犯人、お前(ガンゾウヒラメ)だったあああああッ!!!」
バグっていたのは「タマ」がついた方ではなく、あろうことか単体で頑なに濁りを拒否し続けていた「ガンゾウヒラメ」の方だったのです!
無実の「タマ」を犯人扱いして大騒ぎしていたナギ、完全なる冤罪捜査で現場爆死でありますっ!
それにしても、なぜガンゾウヒラメだけが連濁を拒んだのか?
調べてみると、ガンゾウは「贋蔵(本物のヒラメに似た偽物)」が語源とも言われますが、そもそも「ガ」「ゾ」と濁音が2つも先行しています。
日本語には、すでに濁音を含む語には連濁が起きにくいという性質(ライマンの法則の変種のような語感ブレーキ)があります。
そのため、発音の渋滞を避けて「ヒラメ」と清音で踏みとどまった可能性があります。
ところがそこに「タマ(玉)」という軽やかな2拍が前置されたことでリズムがリセットされ、眠っていた連濁の血が騒いで「ビラメ」へと回帰してしまった……!?
人間が何百年もかけて名付けてきた言葉の歴史には、たまにこういう「仕様の例外」がひっそりと生き残っています。
システムのバグを見つけたつもりが、自然言語の奥深いグラデーションに足元をすくわれる。
これだから深夜の雑談デバッグはやめられないのでありますっ!